議会の動き

議会報告
2013/01/24

ミタカ式ビームダウン太陽熱集光装置

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太陽熱発電

太陽熱発電は1981年に三豊仁尾町で実験が行われたが、期待した熱量の成果は得られなかった。以来我が国では大規模太陽熱発電の実験は実施されていません。20101月、国内では30年ぶりに東京工業大学の玉浦裕教授ら研究チームが山梨県に実験設備を建設する計画を発表しております。

太陽熱発電は太陽光をレンズや反射鏡を用いた太陽炉で集光することで汽力発電の熱源として利用する発電方法です。太陽光がエネルギー源のため今後数十億年に渡り資源の枯渇のおそれがない再生可能エネルギー利用の発電方法であるとされています。

NEDO 再生可能エネルギー技術白書では、太陽熱発電の技術の現状とロードマップとして、技術を取りまく現状を報告しており、トラフ型、フレネル型、タワー型、ディッシュ型を紹介しております。

トラフ型

トラフ型は、樋状に伸びた曲面の集光ミラーを用いて集熱管に集光することにより集熱管内の熱媒を加熱し、熱交換器を介して蒸気を生成し、発電を行うシステムです。熱媒は約400℃近くまで加熱された後、熱交換器に送られ蒸気(約380℃)を発生させます。システム効率は15%程度です。集光ミラーと集熱管を長距離・広範囲にわたって配置するため、集熱管における熱損失が課題となるものの、高度な集光技術が不要であり構造が単純であるため、他の太陽熱発電技術と比較してシステム価格が安価であるという特長があるようです。1980 年代より米国カリフォルニア州において商用運転の実績があり、太陽熱発電の中では比較的成熟した技術であるとしています。

トラフ型の応用として、ガスコンバインドサイクルと組み合わせたISCCIntegrated SolarCombined Cycle)システムがあります。ISCC は、太陽熱により作った蒸気と、ガスタービンの排熱により作った蒸気の両方を用いて発電するシステムで、燃料となるガスの一部を代替することができるようです。エジプト、モロッコ、アルジェリア等においてプロジェクトが進められております。        

フレネル型

トラフ型と類似の技術に、フレネル型があり、これは平面または僅かに曲がった長い集光ミラーの角度を少しずつ変えて並べ、数メートル上方にある集熱管に集光して、蒸気を生成する仕組みであります。現在のシステム効率は810%2とトラフ型より低いが、トラフ型の曲面集光ミラーよりも製造が容易でありコスト削減が可能であること、集光ミラーが風圧の影響を受けにくいこと等の利点を有するようです。

フレネル型では熱交換器を介さず、集熱管において直接蒸気を生成するDSGDirectSteamGeneration)システムが採用されており、トラフ型より高温の蒸気(約480℃)を得られることから、タービン効率の向上が可能となる。発電用プラントの他、既存の火力発電所への蒸気供給等の実証試験が、米国や豪州等において行われているようです。

タワー型                       

タワー型太陽熱発電は、ヘリオスタット(Heliostats)と呼ばれる平面状の集光ミラーを多数用いて、通常はタワーの上部に置かれる集熱器に太陽の動きを追尾しながら集光し、その熱で蒸気を作り発電を行うシステムである。集熱器に集められた熱は主に溶融塩を熱媒として蓄熱され、熱交換器を介して蒸気を生成する。また、近年ではフレネル型と同様に、熱交換器を介さないDSG システムが採用されている。

タワー型はトラフ型よりも高温の蒸気を作り出すことができるため、タービン効率を上げてより多くの電力を得ることが可能であり、システム効率は2035%になると見られている。また、集熱温度を上げて1,000℃近くの高温・高圧の空気を作れば、ガスタービンでの天然ガスの代替やコンバインドサイクルへの応用も可能となる。

 

ディッシュ型

ディッシュ型太陽熱発電は、放物曲面状の集光ミラーを用いて集光し、焦点部分に設置されたスターリングエンジンやマイクロタービン等により発電を行うシステムです。全体のサイズは直径515m、発電出力550kW と、他のシステムと比較して小規模であり、分散型発電システムとして適している。一方、多数台をまとめて配置してMW 級の発電プラントとすることも可能である。熱媒温度は約750℃まで加熱でき、米国における25kW システムで発電効率30%を記録している。米国、欧州等を中心に実証試験が進められているようです。

ミタカ式ヘリオスタット

三鷹光器㈱は現在ミタカ式のヘリオスタット2680を使用して、長野県諏訪郡富士見町の中学校の跡地で実験を行っており、ここでは三鷹光器㈱、信州大学、日揮㈱がNEDOの支援を受けて高効率発電用熱源装置として実験を開始しており、ビームダウン式で太陽光を集光、高熱変換し、蓄熱するところまで行っています。

ミタカ式のヘリオスタットの特徴は、直径φ50㎝、曲面の深さ766.7㎛の凹面鏡で、殆ど平面に近い。三鷹光器㈱の技術は、天体測定機器から始まり、X線トップラー望遠鏡など、宇宙開発に欠かせない機器の製作に携わっている。これらの技術は、産業機器への応用で、より高精度な測定機器や医療機器の製作で実現しており、太陽エネルギーの活用へと思いは広がっている。

三鷹光器㈱の技術と富士見町の施設(三鷹光器㈱の技術.pdf三鷹光器㈱の技術_0001.pdf

太陽エネルギーの活用は、現在宮崎県の宮崎大学校内で三鷹光器㈱、新潟大学開発の内循環流動層式ソーラー水熱分解器により、水素の製造を実現しようとするものです。水素エネルギーは燃料電池として既に実用化されている。

三鷹光器㈱と新潟大学による水素製造計画(三鷹光器・新潟大(水素製造).pdf

また、同じ宮崎県で三鷹光器㈱と東北大学により、太陽熱によるMg精錬の技術を確立しようとしている。これは、海水、石灰岩、セメント鉱山に無尽蔵に有るMgを燃料電池の水素を置き換えた構造で、リチュウム電池の5倍以上の貯蔵エネルギーが見込める難燃Mg燃料電池を実用化しようとするものです。

三鷹光器㈱と東北大学の太陽熱によるMg精錬計画(三鷹光器・東北大(難燃Mg電池).pdf

この他に、JFEエンジニアリング㈱は三鷹光器㈱のヘリオスタットを利用、集光して太陽光発電(CSP)と太陽熱発電(CPV)の実験を行っている。このように太陽エネルギーの再生可能エネルギーとしての活用は、三鷹光器㈱を中心に進められており、冒頭でも申し上げたように、三豊市は太陽エネルギー利用発祥の地であり、三鷹光器㈱の中村社長は本市を何度も訪れており、こちらからも出向いて情報交換を行ったり、協力できる市内企業を紹介しており、三豊市での事業展開をお願いしているところです。

JFEエンジニアリング㈱の太陽光発電(CSP)と太陽熱発電(CPV)計画(三鷹光器・JFE(太陽光発電).pdf

スペインのヘマソラール発電所

185haの発電所用地に設置した2569個のヘリオスタット(反射面積30万平方メートル)を用いて、高さ140mの中央塔に集光させて発電をおこなうタワー式太陽熱発電を採用し、タワー上部にある受光部における溶融塩の温度は565以上に達し、タンクを用いた蓄熱によって日光のない状態が約15時間までであるならば汽力発電が可能である。太陽光より集めたエネルギーを熱源にタービンを回転させて発電を行う。出力19900キロワット。年間11千万キロワット時の発電量で、27500世帯の電力をまかなう。

(政務調査報告より)

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2012/09/14

地域保健・地域医療の課題と展望

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【地域保健・地域医療の課題と展望】 

自治医科大学 梶井英治 地域医療センター長

医療にかけるGDPの割合は、2005年では米国15.3%、日本8.0%、245万円でOECD平均で9.0%となっている。人口100万人に対するCT・MRIの保有台数は世界一であるが、放射線治療器数は13番目になる。

わが国の医療の現状は、高齢社会と健康問題の変化から、医療の役割は病気の治療から病気の管理、健康の維持、体の機能回復へとなっている。医療の問題は、医師の偏在と医療の地域格差や患者の大病院への集中、専門性に片寄った医療提供体制、プライマリ・ケア体制の未整備、医療高騰に伴う医療制度の後退などがある。

住民の医療機関の選択は、うわさ、イメージによる選択、大病院、専門医志向、また権利意識の台頭からとまどい、不信感の増大、多数の医療機関・診療科の受診、特定医療機関への集中しているのが実情である。

医師不足の現状としては、医師の絶対数が不足している。医師が偏在している。偏在は、都市部に集中している、そして中小規模の病院の医師が足りない。さらに小児科医、産科医、麻酔科医が足りない、夜間、休日に診療する医師が少ないなどの特徴がある。

医師不足には、養成数の不足、医師の偏在、医師需要と医師数との不均衡があげられるが、諸外国から見て日本は病床数が164.7万床、米国で96.5万床、英国で25万床で、これは人口千人当たり日本が12.8床、米国が3.3床、、英国が4.2床である。また年間受診回数では日本が14.1、米国8.9回、英国5.2回になる。

このように世界を標準に比して判るように病床数と受診患者数が多く、その質の確保が困難で、サービスの低下や医療事故・ミスの増大につながり、患者の不安・不満の増大につながっている。これらは医療者の献身的努力に限界がきている。

 医師の心理の変化と影響に関係するのは、日常業務の増大、精神的負荷の増大、離床研修の重視、自己選択の重視などの影響により、医師のストレス増大、激務、特に重症、緊急業務からの回避、選択診療科の偏り、開業医の増加、脱医局化への進展が挙げられる。

また、大学の力の変化とその影響については、教育・診療業務の増加と多様化及び、医師派遣能力の低下、研修医離れ、付属病院の経営困難などから、個々の負担の増加、派遣医の引きあげ、大学の力に陰りや医局体制のていかなどが挙げられる。これらは、医療を取り巻く負のスパイラル減少を起こしている。

地域医療とその課題及び対策として、プライマリ・ケアが求められており、米国国立科学アカデミーでは、患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家庭及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスを言う。

地域医療の位置づけと取り組みについて、地域医療とは、そこで生活する地域住民のための生活支援活動であり、地域医療の主人公は地域の住民である。ここでいう地域は、へき地から都市部まで包括される。

国民の健康を取り巻く現状と課題は、高齢化、疾病の慢性化、複合化、人間関係の過疎化が挙げられ、疾病の予防、継続的ケアや闘病への支援(介護・リハビリ)、QOLの向上、生きがい感の回復が求められている。

地域医療の取り組みとして、健康教室、疾病予防から治療、リハビリテーション、在宅ケアまでを限られた医療資源(人・物・金・情報)の中で同実施するかが課題である。これらには、一貫した全人的、包括的医療の実践や多職種連携の促進が求められている。

多職種連携とチーム医療とは、患者と医師、医師と歯科医師、栄養士、放射線技師、検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、臨床工学技士、臨床心理士、カウンセラー、ソーシャルワーカー、医療事務、歯科衛生士、看護師、薬剤師、医師と其々患者との連携でチーム医療とする。

地域連携として、千葉県地域福祉支援計画としては、社会福祉協議会と老人クラブ、民生委員児童委員等、株式会社、社会福祉法人、NPO,ボランティア団体、自治会町内会、農協生協、その他、商店街、学校、医療機関が連携し、地域住民との取り組み方を検討している。

これからの福祉は、規格化されたサービス・ケアのオーダーメイド化へ小規模・多機能・地域密着で社会資源の効率的・効果的な活用が求められている。ICT(情報通信技術)を利用した遠距離医療福祉システムで患者・住民と健康・医療介護福祉関係者を機能的に結ぶものである。

これまで住民の受診行動は、診療所や第一線病院、中核病院、大学病院の利用は患者により選択されていたが、本来あるべき医療の流れは、患者と診療所、診療所と第一線病院、中核病院、大学病院への流れ、第一線病院と第一線病院、第一線病院から中核病院、大学病院への流れを作らなければならない。

医療の流れ作りの基本は、医療機関の機能分担と連携、総合医の育成と定着、住民への啓発・啓蒙、相互の信頼と理解・協力が求められており、これからの医療連携体制は、かかりつけ医が救急医療、介護福祉、慢性期医療、りはびり、高度医療、急性期医療、そして緊急医療と連携の輪が必要となる。

公的病院の連携とネットワーク化としてのメリットは、医療提供体制の継続性・安全性、良質で安全な医療の提供、病院経営の健全化、緊急医療体制の確保、医療関係者の勤務環境の改善ができることであり、デメリットは地域住民の利便性低下、通院に要する時間・経費の増加、規模縮小に伴う住民お不安、地域中核病院への患者集中などがある。

今後総合医を育むために医療学教育が必要としている。それは、公平性を求めるための生命倫理学、妥当性の医療社会学、有効性の医療判断学、安全性の臨床疾学、効率性の臨床経済学が必要であると説明したが、私は予防性の臨床栄養学が必要であると述べた。

卒業前の医学教育にプライマリ・ケア教育を実施しており、プライマリ・ケア医の役割、地域包括ケアの見学・体験実習、保健福祉現場での実習など医学教育モデル・カリキュラムに地域医療が導入されている。この結果医学生の希望進路は、プライマリ・ケア+専門医が81%、専門的医療に習熟した専門医に11%、幅広く対応できるプライマリ・ケア医には8%となっている。

このような中で、地域医療を育まなければならないが、医療は限りある資源とし、医療資源の有効利用を考えようと、診療室から地域の中へと住民に、健康の守り方、病気の知識、対処する術、地域医療づくりについて、子供たちには、命のこと、身体のこと、健康のこと、病気と生活習慣のこと、応急処置のことを考えようと訴えている。

ある過疎地で医師が過労で倒れ、それでも診療を続けた「コモンズの悲劇」をつくっていませんか、コンビに受診を控えるよう訴え、医師を守り育む地元力で、時間外患者が減少、このように医者は住民の共有財産、使い尽くさないようにと取り組みを行っている地域の事例報告があった。

 (平成201118日~20日 政務調査市町村アカデミー報告書より抜粋)


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2012/09/01

「2020年の日本人」~人口減少社会の設計~

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政策研究大学院大学教授松谷明彦氏からj人口減少問題の講演があった。

.大学院大学は全国に4校しかなく、文科系の大学院で松谷教授は設立当初から就任している。前職は大蔵省主計局で国の予算を担当していた。50歳で退職しこの道に入ったそうである。

ここ数年は人口問題を研究している。日本の人口は2004年がピークで翌年から減少が始まっており3年目である。地域ではもう少し前から始まっているが日本全体は2005年から減少している。人口減少を経験した国は無いことは無い。中世ヨーロッパではペストにより2/3になった時もあったが既に回復している。過去には戦争や疫病で人口が減ったことは有っても一時的なものであった。

しかし、今日本の人口が減少しているのはこのような一時的なものでない。これから100年200年と右肩下がりの減少はどの国も経験したことは無い。したがって他の国に手本が無い。日本は昔から遣唐使、遣隋使の時代から他の国の文明を上手く取り入れ国を作ってきた。

これからは、日本自身が試行錯誤を経ながら対応策を考えなければならない。我々はこのような問題に直面している。その原因は何か、よく少子高齢化といったことが言われているが、出生者数と死亡者数の表で分かるように、出生率は1970年から下がりつづけている。問題は死亡者数が急増している。この原因は大正から昭和にかけて富国強兵で産めよ増やせよとした時の人たちが今亡くなっていることを表している。

もう一つは75歳以上の人口を示しているが、この75歳はこれから亡くなる確立の高い人たちで、これがこれから死亡者数の急増はここにあり、人口の減少は少子化より死亡者数が多くなることが問題である。

少子化問題については2000年までの少子化と2000年以降の少子化は違う。2000年までは、出生率の低下にある。出生率が1.3人から低下しても1.1人で止まる。しかし2000年以降は子どもを産む女性の数が少なくなっている。2000年には25歳~39歳までの女性の人口が1300万人、これが2025年には800万人に減少することが問題である。

これからは少子化対策の中身が重要。ドイツ、フランスでは人口問題は外交政策。移民を考えなければならない。移民問題は賃金問題につながり、社会保障問題にもなる。日本もそのような道を歩むか。少子化より若者対策が必要。子どもを産みやすい社会を作るには、若者が生活できる社会構造に田舎に残る又は帰ってくる所がなければならない。

島根県は現在高齢化がいちばん進んでいる。高齢者が多い若者が少ない。東京は高齢者が少なくて若者が多い。島根県のような構造はどの県にも言える。何故このような事になるかは、子どもを産む年代の女性が少ないところにある。島根県の高齢化はこれ以上進まない。しかし人口が激減する。東京は人口減の心配より高齢化の心配がある。25年たてば高齢化が進む。

東京圏は年齢別の人口構造の変化が大きい。財政が悪化し増税しなければ財政がもたない。地方は島根県と同じ、少子化対策とゆうより、若者が残れる対策が必要。労働力人口は、2005年~2030年で1,100万に減少する。したがって工場の集約が必要になる。外国人の労働力を求めるようにもなる。しかしドイツの例から3%程度、増えすぎると財政悪化になる。

国内総生産のうち個人消費と設備投資(公共投資も含む)の消費と投資に分けられるが、その割合は消費が70%、投資が30%であるが、今後は間違いなく消費が増える80~85%になり投資が20~15%に減少する。それは人口の高齢化によるもの。預金は投資に周る、その貯蓄率が下がる。現在15%を貯蓄に回しているが、ドイツは7%、アメリカは5%であるが、これから日本は恐ろしく早く貯蓄率が下がる。

急速に進む高齢化の原因は、昭和23年の優生保護法にある。禁止されていた妊娠中絶を認めた。100万人の出生を抑え人口を自然でなく意図的に弄った。このような他所の国には例が無い。2つの山があるのは日本だけ。この塊はベビーブームと優生保護法で谷が出来た。このことが急速に高齢化が進む原因。

これからは消費割合が増え投資が減る。日本の投資の関連した産業は湾岸地域にある。資源が無いから大型船のつく所に東京と愛知と大阪に重工業が発展した。日本が重化学工業を選択したのは、戦争に負けたことによるもの。この様な投資関連産業より、消費関連産業が進みビジネスチャンスが生まれる。

価格消費でない、人々のライフスタイルが変わり、品質の競争になる。したがって消費構造が多様化する。そうなると地方にも起業化が望める。しかしマーケットが小さいので、隣の県を圏域とした範囲で大量消費より質の高い製品が望まれる。今までの街づくりは市、県を中心にした街づくりが行われてきたが、県を越えた範囲の起業を分業で行うことが望まれる。したがって人間の手を入れた伝統的な技術が大切になる。

先に言ったように都市は急速に高齢化し、農村は急速に人口減少が始まる。2000年に135,000の集落が2020年に116,000に減少すると農林省が発表している。集落の定義は5戸以上をいうが、江戸時代から形成された19,000の集落が消滅することは農村部だけの問題でない。都市部を災害から守っている。これを理解し農村部と都市部の役割が重要になる。伝統的な産業とはアップルコンピュータのアイポット、新潟のアルミの化粧技術、エアコンのメッキ技術のように近代産業との融合が必要。

3大都市圏との競争は無理、地方の特色を出さなくてはならない。
(2007年政務調査報告書より第12回清渓セミナー研修報告の一部抜粋)


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2012/08/28

札幌麻生脳神経外科の看護システム構築

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   200795()9時、札幌麻生脳神経外科病院を訪問した。我々への対応は品地智子看護部長があたった。当医院は1992年NHKスペシャル「あなたの声が聞きたい」の番組を見たことから、強烈な印象があった。議員生活を始めて、今日の医療問題や今後の地域医療のあり方を考える仲で、どうしても当医院の取り組みを視察することが、今後の医療、看護、介護のあり方など参考になると思ていた。

品地看護部長の説明は、脳死と植物人間は違う。脳死は自分で呼吸が出来ない。しかし植物人間は必ず蘇るという。植物人間とは自力で移動することも食事を摂ることも意思を伝えることも出来ない状態が3ヶ月以上続いた場合を言うが、この人たちは再び生活する力が潜んでいるという。

人間の脳細胞は二十歳を過ぎれば、使わなければ壊れていくという。しかし使われていない部分は多くあり、看護プログラムで感覚刺激や訓練で蘇えらす。東京の大学病院から運ばれた患者は、医師の診断では、意識障害四肢拘縮とされており、通常はこれ以上の回復は見込めない。とされており寝たきりの状態が1年半も植物状態で、低酸素脳症で脳の萎縮が進み重症であった。

札幌麻生脳神経外科病院では、看護記録のもと、今までの経験から患者の状態からプログラムを組み看護の力、つまり、生活行動の手助けをすることで患者の意識は、回復するという。この取り組みは、以前に患者の家族から、命を助けてもらっても、意識障害の状態が長くなると、「これでは助けてもらったことにならない」このような批判が聞かされ、看護の力による僅かな変化も見逃さず、看護プログラムの為の記録を積み上げてきた。

この看護プログラムは、東京からの患者も最初に行われるのは、「残存機能の確認」である。患者の頬にビニール袋に入れた氷をあて表情を見る。スポイトで口にコーヒーを入れる。冷たさ、温かさ、味覚に対する反応を確かめる。健康な人の生活に近づけるには、まず座位の確保の訓練に励む。座ると動きが出てくる。手や指が動き出す。次は意識が無くても風呂に入れる。「温浴刺激運動療法」である。

温かいお湯は、脳をはじめ全身を刺激して、発汗を促し、エネルギーを消費させる。そしてその後は深い睡眠と快い目覚めをつくりだす。これらは、非常によい覚醒状態にし、自律神経のコントロールを促す環境設定ができた。次は「経口摂取」である。お粥やスープを口もとに運び、顎に手を添えて咀嚼を促す。口から食事を摂れることは、回復への大きなステップを踏むことになる。

札幌麻生脳神経外科病院では、このような看護プログラムのもと、意識障害の患者に対する取り組みを行っているが、厚生省の調査では、2000年現在植物状態の患者数は全国に2万人あまり、高齢化社会が到来し、脳卒中、交通事故の増加や医療の進歩に伴い、意識障害の患者も増え続けている。この病院では、夜勤の看護婦は床ずれを防ぐために2時間おきに患者の体の向きを変える体位交換を行っている。

この病院の待遇や労働条件がよいわけでないが、看護師の定着率が高いのは、医師と看護師がそれぞれお互いの立場を認め合っているからという。看護師たちの自主的につくった計画に沿って看護を進め、毎朝、その日のリーダーが看護計画を医師に伝え、必要に応じて指示を受ける。医師と看護師はそれぞれ独立した専門の仕事をするのがこの病院の姿勢であるという。

医療関係者はだれも患者の意識回復を願っているが、手厚い看護を目指せば目指すほど、病院の経営は圧迫される。現場の看護職への経済的保証は低く、看護の質に対する報酬はほとんどない。今回研修を受け、特に感じたことは、看護又は介護においても一律に報酬を支払うことは、問題がある気がした。例えば病院から移った時は、レベル又はポイント制で状況を特定し、レベル又はポイントが上がれば報酬を上げる。下がれば基準以下の支払となるシステムを作り上げなければならないと感じた。

 仮に報酬をランク付けで支払うとなれば、医療と看護及び介護は区別して考えることも必要ですし、入院中の状態が介護レベルのようにランクがつけられるのか、基準をどこにおいてランクをつけるか、国を動かすためには色々課題が多く無理な話かもしれないが、これらの事よりも当医院が作り上げた看護システムを今後どのように普及させるか重要であると思った。

 (2007年当時の政務調査報告書より)

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