【質問3】（宗吉瓦窯跡の整備と管理運営について）

　3番目に、宗吉瓦窯跡の整備についてでございますが、昭和の初期に窯跡の存在が判明しまして、地元では弘法大師の産物と言い伝えられていましたが、平成2年のほ場整備と併せた集落道の整備計画に先立ち、三野町と県教育委員会の発掘がスタートしました。その後の調査で、平成4年に、弘法大師が生まれる80年も以上も前に、女帝持統天皇が計画された藤原京に出土の瓦が使われていたことが判明いたしました。このことで一気に史跡の評価が高まりまして、専門職員を入れ、調査を続けてきたわけです。平成8年には、11号窯から16号窯まで確認するとともに、工房跡の所在が想定される範囲を含めた5,100平方メートル余が国の史跡として指定を受けております。平成11年には、豊中町上高野にある妙音寺と同じ瓦が出土しております。そして、平成12年には、藤原京造営期より古い年代の瓦が確認され、藤原京専用の工房との見方が、それ以前から製造した瓦の発見が23基の窯のうち、大半が占められていることから、当時7世紀末、讃岐には30近くあった寺院の建設に盛んに使われていたのではないかと、このように瓦を通したいろんなロマンが語られようとしていたわけでございます。しかし、今回その評価が行政改革の波にのまれ、市民の文化的な理解が得られないようで、計画を見直すようですが、三豊市の文化行政を進める中で、宗吉瓦窯跡の運営も含めてどのように計画をしていくのかお伺いをしたいと思います。
　以上、3点の御回答をよろしくお願いいたします。

【答弁３岩倉教育長】

　藤田公正議員の御質問にお答え申し上げます。
　宗吉瓦窯跡の整備計画についてですが、先の9月議会の一般質問の折、「旧町時代の整備計画を引き継いで進める」と答弁させていただきましたが、行財政改革の折でもあり、検討の結果、整備計画の一部を見直すことになりました。
　この史跡の整備計画につきましては、平成15年度から平成19年度に向けて進んでいます。その中で、現在、未整備の場所は、現建物の内装、改築予定であったガイダンス室、また外回りではレプリカの設置等があります。今から見直すことができるのは、ガイダンス室の改装でありますので、それを中止し、ガイダンス室に予定されていた機能を現在ある建物に移す予定で検討しています。それによって、工事費が約2千8百万円とその維持費が節約されることになります。
　ところで、縮小はされますが、利用していただく方に不便をおかけしない施設や人員配置の充実が必要となってきます。少なくとも、年間約1千万円の維持管理費が必要であると思います。
　教育委員会としましては、貴重な施設でありますので、設置後の利用度のこともあり、検討してまいりました。歴史に関心がある人に尋ねたり、校長や社会科の先生に入っていただき、検討したりしてまいりました。その結果、整備ができれば「小・中学生等を中心に、歴史学習に使えること」等がわかりました。活用についての主なものは、まず1番目でありますが、興味を持っている市民に学問的な価値を見ていただけること。2番目には、小学生や中学生が藤原京の時代の学習ができること。特に、小学校6年生約670名現在おりますが、歴史学習の折、瓦や地元名産のお茶を飲める茶器等、焼き物作りの体験ができる施設として、活用していきたいと考えております。3番目には、保育所や幼稚園児は、手形や足型作りができること等でございます。
　現在の財政状況から考え、一部見直し、縮小することになりますが、内容の整備充実を期し、市民の御協力をいただきながら、市民に活用していただける施設にしていきたいと思っています。よろしくお願いします。

【再質問3】

　次に、宗吉瓦窯跡でございますけれども、なかなかああいった施設といいますか、理解を得るのは大変だと思います。私には文化的な能力も知識もありませんけれども、少しでも文化を理解しようとする気持ちはあります。限られた文化遺産を後世にどのように伝えていくか、今の私たちに課せられた責務ではないでしょうか。その時の文化的な評価は、人によって理解度に差があると思います。昭和45年の大阪万博に出現した太陽の塔は、当時の私にはなかなか馴染めなかった記憶があります。何だこんなものと、もったいない、何の役にも立たないと思っていました。しかし、40年近く経つと、いろいろな知識がつき、今では十分、分かっていない部分まだまだ多くありますが、しかしあれが宝物のように見えてきます。風化が激しいから取り壊そうというものなら、世間から強い批判を浴びるような気がします。これは私だけが感じたものでございましょうか。文化や芸術というものは、そういうようなものではないでしょうか。確かに、文化的なものを維持することはお金がかかります。しかし、貧しく、苦しい時こそ人々の心というものが文化をよりどころにするのではないでしょうか。少しは違いますけども、不況の時代に神社や寺院が整備されていくのもそのような気がします。三豊市内には、国の重要文化財、史跡も含め11箇所、県指定史跡、無形文化財を含め37箇所あるわけですが、今後、知識人を交えた意見交換会を行ったり、学習会を重ね、これらの三豊市としての位置付けをしっかり行うとともに、ボランティア活動を支えるＮＰＯ法人の活用や、これからの観光行政と併せて計画し、地域市民が一体となり、取り組むことが重要と考えております。少しずれますが、昨年2月に藤原京を出発し、飛鳥の史跡巡りを行いました。毎年この時期に毎日放送が企画し、ラジオウオークを行っております。全国から数千人が集まり、浜村純の説明で半日かけて史跡を見学するわけでございますけども、建設当時の人々の関係や思いが語られ、私たちもそれを想像して歩くわけでございます。つまり、三豊市内の文化財をこれからの産業である観光産業として、その一つ一つの地域の市民がどのように関わっていくかであります。この一つ一つに物語があるわけですが、物語は地域の皆さんで学習し、手作りで作っていかなければならないと思っております。募集をすれば、知識人はたくさんいます。20年近く前、三野町の商工会のまちづくりに参加しまして、弥谷周辺を散策し、1時間あまり、これが、あまぎり城主の香川家の丘だとか、生駒さんお殿様のお墓、それから、山崎家、あそこには本当に殿様のそういったお墓がありますけれども、そういったものをずっと1時間しゃべりとおして説明を受ける人がいました。そういった人は今はいなくなっておりますけれども、私はこのような知識人を見つけ、学習することが市民の文化意識の向上につながるし、観光産業としての位置付けもしっかりするのではないかと考えております。今回の宗吉瓦窯跡の運営計画を行うのを機会に、モデルとして取り組んではいかがでしょうか。お尋ねします。

【再質問3の答弁横山市長】

　まず私から財政的な面から教育委員会へ申し入れをしましたので、若干説明をさせていただけたらと思います。
　私も歴史愛好家の一人として、宗吉瓦窯跡は絶対的な三豊市が持つ古代史に参加できる重要な資産だと思っておりまして、あの場所を市民挙げて守るということは、これは啓発をしていかなければいけないと思っております。ですから、宗吉瓦窯跡のあの芝生公園、あるいは瓦窯跡そのものですけれども、これは、やはりわれわれは永久に三豊市の財産として保存していくべきだと考えております。よって、あそこに対する愛情は藤田議員に負けないほど持っておるつもりではおります。ただし、あそこに建てる建物でありますが、今ランニングコストだけ考えますと、香川県で最も効率の悪いのが瀬戸内民族資料館であります。来訪者一人当たり1万円かかっております。その次に悪いのが、県のあの大きな歴史資料館です。あの立派な歴史資料館で一人当たり約5千円かかっております。こういうことを考えますと、私も歴史ファンですが、1回訪れますとなかなか2回目は行きません。つまり、リピーターには非常になり難いというのが、歴史、史跡の弱点であります。そういう意味におきまして、あそこに大きな建物を構えるのではなくて、コンパクトに、そこで十二分に歴史愛好家を満足させるような、むしろソフトの充実にお金をかける方がわれわれの趣旨としては合っておるのではないかと考えました。よって、今躯体が立ち上がっておる部分は完成をさせますが、躯体が立ち上がっていない部分、約3千万円の部分でございますが、ここを省略させていただき、ここはもう屋外の研修場にして、そして今の躯体を立ち上げる中で、十二分に私たちは宗吉の価値を表現できると考えますし、宗吉が、その藤原京持統天皇の時代を表現できるというのは十二分に確信しますので、この点であそこの歴史、史跡保存とさせていただきたいと思います。なお、三木議員からも強い御指摘がありまして、地元説明会がないじゃないかということで、地元3自治会の皆様方と先般説明会を行いました。宗吉、片山を始め、地元の自治会の皆様方におきましては、それでいこうということで、その場で御了解をいただきたいと思っておりますので、私どもとしましては、私の心境も藤田議員とよく似たところにはありますけれども、やはり、歴史愛好家のランニングコストを考える場合に、施設そのものを大型化する必要はない、むしろあの史跡そのものをわれわれの財産として愛情を持って後世につないでいくことが大事だと思いますので、その辺りの心構えを忘れないように臨んでいきたいと思っております。そういう意味で、教育委員会に対して、施設の縮小をお願いをさせていただいたわけでございます。以上です。

【再々質問3】

　先ほども申し上げましたように、文化的な意識が、レベルがどの程度にあるかの問題だと思いますし、それは歴史民族博物館へ行く人がどれだけいるかというのも、私も毎年行ってますが、あそこでいろんな催し物をやってます。空海展やいろんなことをやってますよ。だけど、それは市民のそういった、どういうふうにして興味を持ってもらうかというのが仕事じゃないですか、教育委員会の。放ったらかしではなかなかいかんと思いますよ。今まで積み重ねてきたものを放棄するんですか。そこのところをお尋ねします。

【再々質問3の答弁岩倉教育長】

　今の御指摘でございますが、宗吉瓦窯跡は本当に貴重な文化財であると思っております。学術的な価値もあり、後世に伝えていくべきものであると理解はしております。教育委員会としましては、市民に価値を感じていただき、親しまれるものにしていきたいと考えております。地元の方には特にいろんな形で御協力をいただきながら作り上げていかなければいけないんじゃないかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

【 再々質問３の追加】

　しっかり今までの積み重ねの分を謙虚に受け止めてやっていってください。以上です。終わります。